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第1条 起床時間を固定し、アラームは2段階で設定する

西野 精治

医学博士/米国スタンフォード大学医学部精神科教授

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医学博士/米国スタンフォード大学医学部精神科教授/スタンフォード睡眠・生体リズム研究所所長/日本睡眠学会睡眠医療認定医/株式会社ブレインスリープ 最高経営責任者(CEO), 最高医療責任者 (CMO)/Jornal Sleep編集委員/著書:スタンフォード式最高の睡眠 など多数

皆さんは朝どのように起きますか?

毎日同じ時間にスッキリ、シャキッと起きられますか? 十分寝たはずなのに寝た気がしない、目覚めが悪い、起きてもぼーっとして頭がスッキリしないという人も多いのではないでしょうか。目覚ましに気付かず寝過ごしてしまった経験もあるかと思います。多くの人にとって、毎朝決まった時間にスッキリ起きるのは大変なことだと思います。

そこで、今話題の“スタンフォード式 最高の睡眠”の著者、西野精治(スタンフォード大学医学部教授、スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長)がお勧めする、「最高の睡眠メソッド10ケ条」を紹介します。

今回はその第一弾として、起床時のアラーム設定についてです。

【約4分でわかる本記事の要約動画】
※音声あり

 

アラームの設定は2段階

 

 

アラームをどのように設定していますか?

目覚ましを使ったことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、通常は一回、なかなか起きられない人は複数回鳴るように設定しているかと思います。一回の設定でもスヌーズ機能を使って少し時間を空けて鳴るようにしている方も多いのではないでしょうか。

 

今回の記事では、西野先生のお勧めするアラーム設定をご紹介します。実践していただくことで、普段より朝の目覚めが良くなるでしょう。

 

オススメのアラーム設定は、「2段階で設定」です。「2段階」というのは、1回目と2回目を20分程空けて設定するということです。1回目の設定は、「ごく微音で短く」で設定しましょう。例えば、6時半に起きようとした場合、6:10と6:30に設定します。いずれかのタイミングでスムーズに起床出来るでしょう。

 

 

2段階に設定する理由

 

私たちの体は、サーカディアンリズム(概日リズム)や光などの外的刺激により、様々なホルモンを分泌したり抑制したりしますが、そのうちの一つに、血糖値の調整機能がある「コルチゾール」というホルモンがあります。このホルモンは、明け方に最大分泌され、その後漸減し、睡眠時の前半では殆ど分泌されません。明け方に最大分泌されることは、日中の活動(覚醒)への準備を意味しています。

また、睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠から構成されます。ノンレム睡眠は体と脳が休む深い睡眠であるのに対して、レム睡眠とは体は休んでいるが脳が起きている“いわゆる”浅い睡眠(覚醒閾値が低い)状態です。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れ、これらのセットは個人差はありますが大体90~120分の周期性があります。周期を経るにつれ、ノンレム睡眠が短くなりレム睡眠が長くなります。そのため、朝方には、レム睡眠の割合が多くなります。言い換えれば、健康な睡眠では、明け方から起きる準備が整ってくるのです。さらにスッキリ目覚めるためには、覚醒への準備時間帯のうち、レム睡眠時もしくはその前後で起きるのが望ましいです。

 

 

ウェアラブルデバイスを用いて、朝方のレム睡眠を感知すれば良いのではと考える人もいるかもしれません。ウェアラブルデバイスでの睡眠の感知は、加速度センサやジャイロセンサ、心拍センサなどを用いてバイタルデータを取得・活用していますが(※1)、ノンレム睡眠の深さ(レム睡眠もしくはノンレム睡眠)を感知することは出来つつあるものの、現時点ではレム睡眠の感知は正確ではありません。最近では、手軽な睡眠のトラッキングアプリなども出てきていますが、睡眠ステージの判定の精度はウェアラブルデバイスより劣り、レム睡眠は正しく判定出来ません。また、スマホのトラッキングアプリを使用して、不安を増長させるなどのデメリットを指摘する意見もあります(※2)。そのため、日常、家庭で厳密にレム睡眠を感知しようとするのは現実的ではありません。

そこで、お手軽に覚醒への準備時間帯のうちレム睡眠時に刺激を与える方法として、2段階でアラームを設定することをオススメします。朝方は自然にノンレム睡眠が短くなりレム睡眠が長くなるため、2段階のアラームでどちらかがレム睡眠に当たる可能性が高くなります。またレム睡眠は脳が起きている状態で覚醒しやすいため、少しの刺激(音)でも起きやすいのが特徴です。

仮に最初のアラーム時にノンレム睡眠だったとすると、大音量のアラームで深い睡眠から無理やり起こすと、目覚めが悪くなります。この目覚めてもぼーっとして頭が働かない状態は、睡眠慣性とよび、深い睡眠から無理に起きる/起こされると生じます。深いノンレム睡眠状態の場合に起こさないようにするため、「ごく微音で短く」設定することが重要です。朝方には、レム睡眠の出現頻度が確率的に高いので、1度目のアラームで起きられなくても、2度目のアラームで目覚めることが出来ます。

 

「週末だし早く起きる必要ないからもう少し寝よう」はダメ

 

 

いつも通りの時間に早く起きなくてもいい日には、起床時間を遅らせたり、目覚ましを止めて二度寝・三度寝したりすることもあるかと思います。「週末だから大丈夫」と思ってしまいますが、これは睡眠リズムを乱し、覚醒が不十分になり、夜目が覚めて寝にくくなったり、入眠直後の深いノンレムが形成されにくくなったりと、デメリットが多いです。

しかしながら、寝たいという本能的欲求は、睡眠負債が溜まっている証拠なので、寝れる時に欲求に従って寝ることは大切です。しかし、週末の二度寝・三度寝は、睡眠負債の根本解決にはなりません。週末、二度寝・三度寝の傾向のあるひとは、毎日30分でも良いので平日の睡眠時間を増やしてみましょう。もし、休みの日に「もう少し寝たい」と思ったら、一度普段通りに起床し、日光を浴びご飯を食べ、一息ついた後に1時間ほど寝直せば、睡眠リズムを崩さず、月曜日の朝、リズムが後ろにずれずおきづらくならなくなりません。しかし、これも睡眠負債の根本解決にはなりません。

 

参考:

※1:ウェアラブルデバイスを活用したシステムについての 現状と問題点,今後の展望について

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbf/44/2/44_91/_pdf/-char/en

※2: Sleep Tracking: Could It Be Making Your Sleep Worse?

https://www.prevention.com/health/a20494048/sleep-tracking-is-there-even-a-point/

 

(writer: sleepedia編集部)

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