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第2条 日光を浴びる

こんにちは。昨晩はぐっすり眠れましたか?

第1条では、スッキリ目覚めるためのアラーム設定についてお話しました。第2条・第3条では、目覚め後の覚醒を促す行動についてお話ししたいと思います。

【約4分でわかる本記事の要約動画】
※音声あり

 

目が覚めたら、まず最初に「カーテンを開けて日光を浴びる」

 

 

朝、目が覚めてから、どのような朝のルーティンを行っていますか? 目が覚めてからもう少しベッドでゆっくりする人もいると思いますが、その前にやって頂きたいことがあります。それは、目が覚めたらまず最初に、寝室のカーテンを開けて日光を浴びる、ということです。そうすることで、目覚め後の覚醒が促進されます。

ただし、予定の起きる時間より大分早く起きてしまった場合(中途覚醒など)は、強い日光を浴びると、交感神経が刺激されその後眠れなくなったり、リズムが前進し、通常の睡眠リズムが崩れてしまうため、日光を浴びるのは控えてください。また高齢者で、朝早く目が覚めて困るという人は、起床後直ぐに日光を浴びないようにしてください。

朝カーテンを開け日光を浴びることは、晴れの日だけに限らず、曇りの日、雨の日であっても有効です。

 

なぜ日光を浴びるのか?

 

 

朝、日光を浴びる効果は絶大です。

太陽を直接見なくても日光を浴びるだけで、松果体から分泌されるホルモンである「メラトニン」の分泌抑制機能が働きます。メラトニンは、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。つまり、日光を浴びることで、睡眠ホルモンの分泌が抑制され、睡眠圧(睡眠欲求)が抑えられるのです。

 

第3の目による睡眠・覚醒調節

 

人の網膜には、3つの光受容細胞が存在します。一つ目は光の強弱を感知する桿体細胞、二つ目は色彩を感知する錐体多細胞、そして三つ目はメラノプシン発現網膜神経節細胞です。この網膜神経節細胞のうち数%存在する、メラノプシン発現網膜神経節細胞(Gタンパク質共役受容体である光受容タンパク質)(※1)に、470nmの特定の波長の光(青色の光)が届くと、メラトニンの分泌を抑制させるシグナルが脳の松果体に伝達し制御されます。因みに日光は、約300nm~3000nmの幅広い波長(うち約380~780nmが可視光とすることが多い)なので、メラノプシンに反応する特定波長を含みます。これは、雨天であっても変わりません。

 

 

体内時計のリセット効果

 

メラトニンは、日光を浴びてから約14-15時間後に分泌が増加すると言われています。そのため、朝、目が覚めて日光を浴びると、夜には睡眠ホルモンの分泌が増え、自然と眠くなってくることになります。

またメラトニンの重要な働きとして、サーカディアンリズムの位相の明暗周期への制御(調整)が挙げられます。人のサーカディアンリズムは、「24.2時間」で、1日あたり12分ずつずれてしまいます。メラトニンにはそのズレを調整する働きがあります。24時間のリズムを保つためには、毎朝、体に朝を知らせて体内時計をリセットする必要があります。

 

サーカディアンリズムを崩すことのデメリット

 

職業柄どうしてもリズムを崩してしまう人もいます。例えば、夜勤勤務のある医療従事者やドライバー、飲食店勤務者、ホテルなどのフロント、警備関係の人などが挙げられます。夜勤の場合、日中寝て夜中起きている状態になり、ホルモンバランスや精神状態への悪影響が否めません。実際に多くの人が、睡眠障害、めまい、消化器系の不調、勤務中の眠気、倦怠感などの問題を抱えているそうです。

また、全盲の人では、光を感知できないため、常にフリーラン(地球のリズムに影響を受けず、生物固有の体内時計でのみ生きる状態)の状態となり、体内での1日の始まりが徐々に後退し、昼夜逆転の体内リズムにもなってしまいます。

 

 

処方箋として、メラトニンのサプリがあります。昔は、豚の脳にある松果体から抽出し精製して作られていましたが、現在では合成剤が生産されています。入手が簡単なことから、アメリカでは約2000億円の市場になっています。ただし、人によってサプリの効能・効果が大きく異なるため、リズムを崩してしまうからといって闇雲にサプリを用いるのはお勧めしません。なお、効果が高いのは、主に高齢者です。高齢になると、メラトニンの分泌量が減り網膜での光受容が弱まるためリズムを崩しがちであるのと、分泌量が少なくより敏感に反応するためです。

 

夜勤勤務を行う方の対症療法

 

 

日毎の就寝・起床時間の変動でなく、週毎などまとまった期間での就寝・起床時間の変動の方が負担が少ないとされています。業務上の制約もあるかもしれませんが、可能であれば、まとまった期間での活動パターンの統一をお勧めします。また、体内時計は1日で1時間しか新しいサイクルに同調できないため、日内の活動時間の大幅な変動に比べ、活動時間が少しずつずれていく場合の方が、体が順応し易くお勧めです。例えば、日勤・準夜勤・深夜勤のある看護師の場合、日勤→準夜勤→深夜勤のように、段階的に活動時間を変化させていくと良いでしょう。またシフトをずらす場合、前にずらすより後ろにずらす方が、順応が早く体が楽なことが分かっています。

また、他の記事で温度調節や睡眠前行動など、睡眠の質を上げるのに役立つ内容をご紹介していますので、ご参照下さい。

 

個人だけでなく社会的な取り組みが急務

夜勤を行う人は、体調不良、慢性的になるとがんや糖尿病などの生活習慣病や精神疾患になりやすくなると報告されています。この事実を会社・組織・社会が真摯に受け止め、環境改善やケア、知識の浸透などを推進していく必要があります。具体的には、仮眠室の導入、無理なシフトスケジュールの廃止、操作間違いを防ぐシステムの導入、睡眠外来などの診療の補助、社内セミナーの開催などが挙げられます。

 

光の変化を大きくさせるための工夫

 

 

寝室は暗くして、就寝中部屋は暗くして、光受容細胞への刺激を抑えて下さい。寝室を暗く保つ事により、朝、起きて日光を浴びる際に、光受容細胞への刺激が大きくなるように、寝室は暗くしましょう。可能であれば、カーテンは遮光性のあるものを使うと良いでしょう。カーテンの隙間から日光や外部の光が入り覚醒してしまう可能性があるので、隙間をなくすために、カーテンの端を窓の格子に留めたり下にクッションを置いたりして工夫する方法もあります(※2)。

 

参考:

※1: 光受容体メラノプシンに対する阻害薬の同定および視覚以外の光応答にあたえる影響の解析http://first.lifesciencedb.jp/archives/7595

※2: ママと赤ちゃんのぐっすり本 「夜泣き・寝かしつけ・早朝起き」解決ガイド

 

(writer: SleepediA編集部)

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